古津軽 古津軽

KOTSUGARUPERSON

古津軽を紡ぐ人

  • テマヒマかけて、干したり漬けたり
    発酵させたり。
    受け継がれた大切な食を、
    つないでいきます。

    津軽あかつきの会
    工藤 良子 氏

津軽地方で代々受け継がれてきた料理の作り方やコツなど秘伝のレシピを次世代に残すため、テマヒマかけた伝承料理でおもてなしをしてくれる「津軽あかつきの会」代表の工藤良子さんにお伺いしました。

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昨年、発刊された「津軽伝承料理」が大反響でした!
工藤さん :
ありがとうございます。私たちの料理は、農家の先輩方がまたその先輩方に教えてもらいながら作り続けてきたもの。ここら辺は雪も深いし、冬は畑のものはとれないから、余るほど野菜が採れる夏や秋のうちにたくさん収穫して、干したり塩漬けにしたりして、保存食にして一年中食べたものよ。
  • 赤ジソも旬の時期に壺に漬けておく。
  • その時期に、地元で採れるものを中心に。
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雪深い津軽だからこその、先人の知恵ですね。
工藤さん :
すばらしい食文化、宝だと思うの。でも、私たちの世代になると分かる人も少なくて、このままだとせっかく先輩方が作り続けてきたレシピも途絶えてしまうし、先輩方が元気なうちにって、1軒1軒まわってレシピを教えてもらって、書きためてきたの。私ももう歳だし、レシピを残して作り続けて行かないと先輩方の知恵が途絶えてしまうからね。
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ごちそうになりましたが、素材の本来のうまみ、美味しさがすごかった~。
工藤さん :
調味料は最小限に、例えば「人参のこあえ」なんかも、砂糖とかは一切使わないで、素材の甘味だけ。十分、美味しいでしょう(笑)
今は作ってる人もあまりいないけど、「りんごの丸っこ漬け」は赤くなる前のりんごを使ってるから、シャキシャキして歯ごたえもいい。夏は「なす」がいっぱいとれるから、「ずんだ」で和えたり、大きい赤じそで巻いた「なすのじさ巻き」もめっきゃ。昔の人は自然の恵みに感謝して、食材も余さないで使ったの。
  • じっくり時間をかけて棒タラの出汁を引き出す。
  • 津軽あかつきの会の明るい“かっちゃ”たち
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テマヒマかけた料理は、気持ちもほっこりしますね。ぜひ、季節ごとの料理を味わいたいです。ちなみに、私のお気に入りは「ごままんま」です!
工藤さん :
人気で希望も多いから、よくだしてるよ。昔は田植えの時に食べたりしたそうだけど。餅もよく食べたの。12月の神様の年取りの時は、この日はお岩木様、この日は大黒様っていう風にほぼ毎日お供えをして。あと宵宮といえば本家で餅をついて、親戚とか世話になってる人に配って歩いたものよ。宵宮は神様にお祈りする日でもあるから、親戚一同が集まって食事してね。昔、仮装盆おどりもやっていて、すごく盛り上がって楽しかったの。参加者が少なくなってもうやってないけど、そういう行事も本当は伝えていければいいんだけどね。獅子踊りを見て伝承料理を食べるとか、そういうのがいいよね。
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伝承料理は、農家の暮らしと密接につながっていたんですね。
ところで、予約は4日前までというのは少し早い気がしますが。
工藤さん :
干した棒タラとか山菜、キノコとか、数日かけて水で戻して出汁を引いたり、塩漬けしたのを塩抜きしないとだめだから。時間も手間もかかるけど、ゆっくり時間をかけて戻さないと、美味しくないからね。
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時間をかけた分、美味しさも増すんですね。だったら4日は全然早くないです!
最後に、これから取り組んでいきたいことなど、ありますか?
工藤さん :
幾世代にもわたって引き継がれてきた私たちの地域の伝承料理をできるだけたくさんの人にお届けしたいと思っています。子どもたちには、調味料とか濃い味に舌がなれる前に、こういう味を知ってもらって、好きになってもらえれば嬉しいね。次の世代にもつなげていきたいからね。