古津軽 古津軽

津軽の餅

古津軽の神まつり

弘前市・ 黒石市・平川市・
西目屋村・田舎館村

鮮やかな四季の移り変わりの中で、村々には折々の仕事と願いがあります。大地に根差して大切に受け継がれてきた春夏秋冬の神まつりは、日本人が忘れかけている貴重な暮らしの歳時記です。

紹介している情報は掲載時のものです。予告なく変更等になる場合がございますので、ご了承ください。

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1 古津軽・
正月の神まつり

太陽の力が一番弱まる冬至・正月に新たな1年の豊穣を願う

津軽の暮らしは常に神様とともにあります。特に正月は、新しい1年の始まりを迎える大事な月です。重要なさまざまなお正月行事が繰り広げられ、その年の収穫に感謝し、明年の五穀豊穣を祈願します。米どころ、りんごどころの津軽ならではの年占い行事で、稲わらや氷など自然そのもので豊凶を占い、その年の農作業が始まります。

時期が近付くと
体が火照る
鬼沢しめ縄奉納裸参り

旧正月、極寒の中、鬼神社で行う弘前市鬼沢地区の裸参りは400年前の江戸時代から続く伝統行事。元は厄を祓うための儀式と言われ、身を清めた男衆がお神酒、供え餅、年縄などを担いで「サイギ、サイギ」と唱えながら地区内を練り歩き、産土神に奉納します。心身を清めるため、ふんどし姿で大樽に入った冷水に浸かる儀式「水垢離の儀」では、雪もガンガン投入される中、肩を押さえつけられ、歯を食いしばり、必死に水の中に繰り返し入る姿に圧倒されます。

鬼神社アクセス
弘前市鬼沢菖蒲沢147
[鬼沢]バス停下車、徒歩約5分

津軽の農作業は
七日堂祭から始まる

1月7日は「餅の7日」ともいい、神棚はじめ家の各所に供えた餅を下ろして食します。この日は七草でもあり、津軽では「けの汁」を大鍋に煮ます。
岩木山神社と猿賀神社では旧暦のこの日に、鬼神社では岩木山から鬼沢に鬼が来ると言われる旧暦1月29日に、豊凶占い、豊作祈願の行事で国の無形民俗文化財「七日堂祭」が開催されます。

猿賀神社の七日堂祭

およそ400年前から行われている「柳からみ神事」は、御幣をつけた長さ3メートルの柳の枝を白布で覆った板に豪快に振り下ろし、枝の折れ方や打ち付けた感触から今年の豊凶や作柄、天候を占う神事です。
「ごま餅撒き神事」は、境内で紅白のごま入りの餅が撒かれ、参拝者は折れた柳の枝とともに持ち帰り無病息災などを祈ります。

猿賀神社アクセス
平川市猿賀石林175
[津軽尾上駅]から徒歩約15分

幻想的な祭り
沢田ろうそく祭

旧暦小正月(1月15日)に行われる約450年以上の歴史がある弘前市沢田地区の奇祭。火を奉納し、五穀豊穣と家内安全を祈りますが、元は壇ノ浦で滅んだ平家の落ち人の子孫が先祖の霊を供養したとも言われています。急な坂道を上り、「岩谷堂」と呼ばれる天然のほこらの中にあるご神体(岩肌)にろうそくを立て、手を合わせます。一晩中灯し続けたろうそくの溶けた形で豊凶を占います。

沢田神明宮アクセス
弘前市沢田園村18
JA相馬村湯口支所より往復シャトルバスあり

凍った滝で占う
乳穂ヶ滝氷祭

高さ33mの白絹のような乳穂ヶ滝の裏の洞窟には不動尊が祀られていて、冬には稲穂のように氷結します。毎年2月第3日曜日、カミサマ(巫者・シャーマン)が神事を行い、3本の稲束に火をつけ、その燃え具合で豊凶を占います。火渡荒行は参加自由。(裸足だと火傷するので靴も可)藩政時代は藩主が使者を遣わして氷塊を検見させ、豊凶の手掛かりにしました。民間では拝観後、氷を持ち帰り病人に与えると不思議にも快癒したという言い伝えも。

乳穂ヶ滝アクセス
西目屋村田代名坪平47-1
[西目屋村役場前]バス停下車、徒歩約12分

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2 古津軽・
春の神まつり

雪が解け、いよいよ農作業が始まる春
子どもや獅子の神様が活躍します

「ボーノ神」は春の田植え前に悪疫退散、五穀豊穣を願って行われる伝統行事。田舎館村十二川原地区では、子どもからお年寄りまで集まり、わらで手作りした蛇や男女の人形を抱えて太鼓の音とともに地区内を巡り、地区の入り口にあたる場所に祀ります。

獅子舞の舞おこし

津軽では、五穀豊穣を祈り、病気や厄を払うため、獅子舞・獅子踊が行われ、人々の暮らしに寄り添ってきました。
弘前市鬼沢地区では、市指定無形民俗文化財に指定されている「鬼沢獅子踊」が受け継がれています。旧暦5月29日に「舞おこし」が行われ、旧暦9月15日には鬼神社で「宮踊り」が行われます。「雌獅子争い」や、腹ばいで踊るなどの特徴があり楽しめます。

うんぺい

弘前市石川地区では、同じく文化財に指定されている「石川獅子舞」が伝えられています。5月3日に石川大仏公園で「舞おこし」が行われ、7月15日に八幡宮に奉納、盆中に町内の墓地の墓参りと地区での村踊りが行われます。動きの速さと振りの細やかさが見ものです。
石川地区・鬼沢地区には「獅子記念碑」があり、地域にとって大切な祭りであることが分かります。

03

3 古津軽・
夏の神まつり

燃え盛る帆柱を支え、
命がけで川を下る
大川原の火流し

南北朝時代、戦いに敗れ、大川原に落ち延びた南朝方の子孫が、遠い故郷を偲び、戦死した仲間の慰霊のために、火を焚いて川に流した精霊流しが起源とされ、650年以上続くと言われています。お盆8月16日の夜、神事を終えると、集落を流れる中野川にアシガヤを編み上げた長さ3m弱、帆柱3mの舟3隻に火を付けて降ろし、スゲ笠・野良着姿の若者が火を消さないように、「ヤーレ、ヤーレヤー」の掛け声を発しながら川を下ります。

実は、絶好のアピールの場だった?

大岩にぶつかり、深みにはまり、約300mの難コースを必死に下るさまは、まさに命がけです。3隻は早生・中生・晩生の稲に見立てたもので、燃え方から今年の豊凶を占います。昔は未婚の男性が舟を引き、ゴール地点には女性が待っていて、勇敢さをアピールする絶好の場だったとか。今は、地元の子供たちがお囃子で後押しし、応援しています。「大川原の火流し」が終わると、津軽は収穫の秋を迎えます。

黒石市大川原アクセス
東北自動車道黒石ICから車で約20分

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4 古津軽・
秋の神まつり

岩木山の「お山参詣」

収穫作業が本格化する前の秋口、津軽の村々から岩木山を目指す行列が出発します。旧暦8月1日は五穀豊穣と家内安全を祈願して、岩木山に集団登拝する行事「お山参詣」が津軽の秋最大の行事として開催される日です。お山参詣は少年たちの成人儀礼でもある、大切な行事です。

地元のお山に登る
「まね山かげ」

信仰の山・岩木山は津軽の母なる山。かけがえのないシンボルとして慣れ親しまれてきました。遠く離れていて、岩木山に登るのが難しくても大丈夫。津軽には村人たちが大切にお参りする“小さな岩木山”もあるのです。
離れた地域では、村の里山などを岩木山に見立て、代わりに地元でお山参詣をする「まね山かげ」が流行しました。五所川原市脇元地区では地元の靄山(もややま)に旧暦8月1日に山かげをします。

登拝できた喜びを
仲間と分かち合う

遠くにいても近くにいても、津軽の人々の心にはいつも岩木山。そこに祈りがあり、暮らしがあり、いくつもの物語が生まれました。

岩木山神社アクセス
弘前市百沢寺沢27
[岩木山神社前]バス停下車
「古津軽の神まつり」の地図

「古津軽の神まつり」
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