古津軽 古津軽

津軽の餅

食

Local cuisine

“餅” のあるくらし

弘前市・ 黒石市・平川市・
大鰐町・田舎館村

米どころの津軽。そこに広がるまつりや信仰、暮らしには、 いつも“餅”がありました。宵宮を楽しむ人とともに、仏様のお祈りする人の傍らに 、家族の真ん中にも。そんな、“餅”から見える津軽の風景のものがたりです。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

01

1 “餅”は、神が宿る
特別な存在

毎日、神様に
好物の餅をお供え

餅を備える、というとお正月やお盆を連想しますが、津軽では12月、日毎に異なる神様に 日替わりで 豆料理 や小豆飯 などを供え、お酒とともに常に しとぎ餅が供えられていました。「神様の年取り」と言われ、1年間の農作業が無事に終わったことを神に告げる各家庭の大切な行事。 12月は数え月といい、 1日はお岩木様、2日は羽黒様、6日は弁天様というように 、 祭りの日を数える月だと言われています。

行事食としても、
おやつとしても愛される
“しとぎ餅”

今ではなかなか見られない神様の年取りですが、津軽ではこの他にも五穀豊穣を願う多く の行事食が伝えられ、その一つが“しとぎ餅”。水に浸した生の米をついて粉にし、水でこねて丸めます。神棚には不浄化が混じるのをきらい、生のしとぎを供え、神棚に供した後、いろりの熱灰をかけて焼いて食べたのがしとぎ餅の始まりだとか。昔は各家庭にしとぎ餅 を焼くための“しとぎ鍋”まであり、カリっと両面を焼いた香ばしい餅は最高のおやつでした。

津軽の農作業は
ここから。
七日堂祭

鬼神様を祀る鬼神社では、岩木山から鬼沢地区に鬼が来ると言われる旧暦1月29日に豊作を祈願し作柄を占う七日堂祭が開催されます。 鬼神が使うような大きな農具も使う多彩な行事の中でも「臼鍋餅」は、村民の関心が最も高い 行事。前日についた大きな餅を早稲・中稲・晩稲の上に乗せ、祭り当日にひっくり返し、餅にくっついた米の量で、早稲・中稲・晩稲の豊凶が占われ、 その発表を固唾を飲んで見守ります 。

無病息災を願う
紅白のお餅

旧暦1月7日に七日堂祭が行われる平川市猿賀神社の柳からみ は 、約3mの柳を12回床に打ちつける大迫力の神事。その都度「おー-!!」の歓声が沸き起こり、枝の折れ具合などで豊凶を占います。代々三上家が行うのだとか。この祭りのクライマックス・ごまの餅まき神事では、神主が木の上から紅白の餅をまき、集まった人々は無病息災などを祈って持ち帰ります。

宵宮の日は
神が宿る餅で
感謝の気持ちを

宵宮は、土地やそこに暮らす人々をお守りしている神社を祀る寺社の大祭の前夜祭。津軽では5月から10月まで、150以上もの宵宮が開かれます。特に6月から7月は宵宮の集中期で、毎日のように開かれています。昔は宵宮になると本家に親戚を呼んで飲み食いさせる習慣がありましたが、今ではあまり見られなくなり、その代わりに親戚に餅を配って歩くようになりました。

02

2 米どころのまちの
“もち専門店”

あなたのもち米、
“もち”にします!

江戸時代末期創業の黒石市の寺山餅店。12月にお店を訪れると 、棚の上にお餅の見本(1号、2号、3号…)と「米持参」「つき賃」「加工賃」の文字が!?「昔は家で餅つきをして、おばあちゃんが餅を作った側からつまみ食いをするのが楽しみでした。各家庭で餅つきをすることも減少してきた現在、うちにもち米を持ってくるのも増えるようになってきました。」「『寺山さんのところに持って行けば、どうにがしてける。』と言って、皆さん持ってくるんです(笑)」と9代目の正幸さん 。
年中対応していますが、 お供え餅の時期だけでも500軒ほどの依頼があり、中にはその年の米の出来具合を知る意味で餅づくりを頼む農家さんもいるとか。

一子相伝の餅づくり

「もち米1升と 大福を交換します。昔で言う「物々交換」 ですね 。」「ピンクの稲荷寿司は、色々な方の意見を取り入れて現在の味になったんです。」地元の農家さんと、持ちつ持たれつの仲 の寺山 餅店。 餅づくりの技術はなんと、 江戸時代から一子相伝!長男だけが代々、技を受け継いできました。奥様も「私ですら作り方は知らないんですよ。」とほほえみます。江戸時代からの手法そのままの「四半餅」で 、 時の流れに思いを馳せます。

寺山餅店アクセス
営業時間/8:00〜19:00
定休日/不定休
TEL. 0172-52-2826
青森県黒石市中町36-1
弘南鉄道弘南線「黒石駅」から徒歩約10分

津軽のお祝い菓子
“うんぺい”

もち米の粉を炒った 「うんぺい粉」で作る、華やかな色合いでお祝い菓子として重宝されるうんぺい。
現在4代目の甘栄堂には赤色や緑色の定番のほか、シソ入りなど常時数種類のうんぺいが並びます。「昔は 「 二の膳 」に、かまぼこなど鮮度が重要な食材の代わりにうんぺいを添えました。色々な形にできるから 、 赤ちゃんに一升餅の代わりにうんぺいで作った鯛を背負わせたいという注文も。うんぺいの鯛を作る時に使う精巧な木型も見せていただきました。今では木型職人さんも少なくなりたいへん貴重なものになっています。

店内にはご主人が作った
うんぺいアートが!

うんぺいは、今では「懐かしいおやつ」として買う人が多いかな。 」 運が良ければ、 レアな 「うんぺいの切れ端詰め合せ」 も購入できます。
また、店内には長勝寺の三門や為信公や帆船など、うんぺいで作られたご主人の力作が展示されています。

甘栄堂アクセス
営業時間/9:00〜18:30
定休日/元旦・不定休
TEL. 0172-32-1011
青森県弘前市代官町41
JR「弘前駅」から徒歩11分

餅米に餅米?
米どころならでは
“あさか餅”

餅米を煎って、粉砕した粒を再度また煎り、大福もちにまぶす、まさに「餅米」に「餅米」の「あさか餅」は津軽ならでは。まぶした粒々は地元では「あさか種」と呼び、餅屋ではなく地元の製粉所で作られる。「あさか餅」は商品の中でも一番人気、店の看板商品という餅屋が多く、三笠屋餅店もそのひとつ。

現在三代目ですが、あさか餅の作り方は昔から変わらず、「あさか種」は香ばしく、トッピングのピンク色の落雁がアクセント。アイスクリームに香ばしい「あさか種」をまぶした「あさかアイス」も人気です。

三笠屋餅店アクセス
営業時間/8:30〜17:30
定休日/不定休
TEL. 0172-32-7590
弘前市土手町146-2
JR「弘前駅 」から徒歩15分
弘南鉄道大鰐線「中央弘前駅 」から徒歩7分

農家さんの畑のおやつ
がっぱらどひっくり返す
“がっぱらもち”

ごはんを潰して砂糖、水、小麦粉を混ぜて焼く、 シンプルな農家さんのおやつ 「がっぱらもち」 は、まさにオシャレなライスケーキ。 生地を鍋に「がぱっ」と移すことから命名されたとか。
昔、布地 をパリッと伸ばすのに使った米糊の残りかすを、もったいないからと残りご飯と混ぜて焼いたのが始まりとも言われていて、お米を1粒でも大事にする精神から誕生した、まさにSDGsのおやつです。優しい甘さで、香ばしいゴマのほか、くるみ、煮豆を入れる人もいます。畑に囲まれた「ジンレリア農園&工房」では「がっぱらもち」を作る体験ができます。

ジンレリア農園&工房アクセス
体験希望は要予約
定休日/不定休
TEL. 0172-57-3471(10:00〜15:00)
平川市猿賀池田112-1
がっぱらもちが購入できるショップ
※入荷がない時期もありますので、事前にお問合せください。
道の駅いなかだて
商品名/ままでつくったばばのもち
営業時間/8;30〜18:00(12月〜3月は17:30まで)
TEL. 0172-58-4411
田舎館村大字高樋字八幡10
弘南鉄道弘南線「 田舎館駅 」から徒歩11分、「 田んぼアート駅 」から徒歩5分
産直センターひらか(アグリアス)
商品名/ごはんもち 等
営業時間/7:30〜17:00(11月〜3月は8:30から)
定休日/年末年始
TEL. 0172-43-1831
弘南鉄道弘南線「 平賀駅 」 から徒歩17分
平川市小和森上松岡211-1

ジンレリア農園のシャインマスカットとお皿を並べると、がっぱらもちがヨーロッパのお菓子のように見えました。「山小舎」と書かれた建物も素敵です。

地元で愛される
“小さなもち専門店”を
訪ねる

津軽には、石臼などでついた自家製の餅を販売している小さな「もち専門店」が点在しています。朝早くから馴染みのお客様が餅を買い求め、午前中には売り切れてしまうお店も。

戸田うちわ餅店

「戸田のうちわ餅」で愛される、現在6代目、100年以上続く老舗。平らな四角いお餅が、たっぷりの胡麻だれにどっぷり浸っています。餅は時間がたってもやわらかく、生の胡麻を仕入れて炒って冷まして擦るという丁寧な作業で作られる 胡麻だれは、香ばしさが際立ちます。昔は宵宮にも出店していて、 最勝院の宵宮(通称:大円寺の宵宮)とセットと思っている人も多く、今でも大円寺の宵宮の日は夜も営業します。

戸田うちわ餅店アクセス
営業時間/9:00〜18:00
定休日/月曜
TEL. 0172-32-7698
弘前市銅屋町21
弘南鉄道大鰐線「中央弘前駅 」から徒歩7分

佐藤もち店

2代目の女将さんが切り盛りする佐藤もち店の一押しは「あさか餅」。「しとぎ餅」は常に山盛り、津軽ならではの甘いピンクの いなりずしもあります。

佐藤もち店アクセス
営業時間/7:00〜17:00(無くなり次第終了)
定休日/日曜
TEL. 0172-36-7405
弘前市茂森新町4-1-5
弘南鉄道大鰐線「弘高下駅」から徒歩20分、
JR「弘前駅」からバス約20分(弘前〜相馬線等)
「茂森新町」バス停下車徒歩2分

もち処 一久

2代目の一押しは、 餅を焼いてからカウンターの大きな器に入った餡をたっぷりかける串団子。丹波の黒豆が入った豆大福も人気 。 赤くて甘い赤飯もあります。

もち処 一久アクセス
営業時間/9:00〜18:00
定休日/水曜
TEL. 0172-35-4758
弘前市浜の町西2-3-26
JR「弘前駅」からバス約20分
(弘前〜板柳線 三世寺経由他)
「浜の町三丁目」バス停下車徒歩1分

福田もち屋

長く卸し専門店でしたが、十数年前にもち屋を開店。近くの大学生や高校生がおやつで餅を買い、感想を聞くのが何よりの楽しみ。一押しは、栗を塩あんこで包んだ栗大福。

福田もち屋アクセス
営業時間/9:00〜16:30
定休日/日曜・月曜
TEL. 0172-35-2768
弘前市稔町19-8
弘南鉄道大鰐線「弘前学院大前駅 」から徒歩7分

やぎはし餅菓子店

透明感のある黄金色のあま~い黒糖蜜がかかった串だんごは、古津軽さんぽのおやつの定番。地元の人に愛されているお菓子やピンクのいなりずしなどが味わえます。

やぎはし餅菓子店アクセス
営業時間/8:00〜17:00
定休日/不定休
TEL. 0172-48-4010
大鰐町大字大鰐字大鰐99-3
弘南鉄道大鰐線「大鰐駅」から徒歩6分
「「“餅” のあるくらし」」の地図

「“餅” のあるくらし」
の地図

▲ 地図のダウンロード
上のMAPボタンからPDFページを開いたら、
右クリックで「名前をつけて画像を保存」を
選択してください。