古津軽 古津軽

弘南鉄道弘南線

風景

LANDSCAPE

田んぼ鉄道(後編)

弘前市・平川市・田舎館村・黒石市

「弘南鉄道弘南線」は、どこまでも広がる田んぼの中をほっこり走る2両編成のローカル電車。田んぼの先には津軽富士「岩木山」が大きな裾野を広げています。JR奥羽線に隣接した「弘前駅」から「黒石駅」の間は、13の駅があり3つの市と1つの村をまたいで乗車時間は約35分。そのうち8つの駅は完全無人駅になっています。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

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弘南鉄道弘南線01
  • 弘南鉄道弘南線02
  • ラッセル君

2 乗り鉄・降り鉄

弘前から黒石まで
ぶらり途中下車の旅

弘南鉄道弘南線の旅は、田んぼを楽しむだけじゃない!沿線沿いに温泉が点在していたり、昭和の佇まいを残す老舗のお店や食べもの屋さんがたくさん。また、かつては、りんごの出荷で大賑わいを見せた駅や津軽有数の穀倉地帯を走る貨物列車の面影が今も残っています。

  • 弘前駅
  • ラッセル君と私

ラッセル君を
旅のお供に

弘南鉄道の人気キャラクター「ラッセル君」のキーホルダー(800円)を弘南線「弘前駅」で購入(数量限定販売)。モデルになったラッセル車「キ104」は、大雪の日に活躍する除雪電車。「どすこいどすこい!」と雪を掻き分け進むお相撲さんをイメージしてラッセル君はまわしを着けています。「キ104」は昭和43年に北海道から弘南鉄道にやってきました。
※ラッセル電車の運転ダイヤは安全の都合上、非公開となっています。

弘南鉄道弘南線04

岩木山を後ろに
田園を走る

市街地を抜けると、線路の両側には田んぼや畑が広がり、弘南線は“田んぼ鉄道”となっていきます。「新里(にさと)駅」あたりで電車の最後尾へ移動すると、真後ろに大きく岩木山が!津軽平野を流れる平川を渡れば「館田(たちた)駅」。「新里駅」には蒸気機関車の展示があり、「館田駅」にはかつての貨物列車時代の石積みのホーム跡があったり、歴史を感じる大きな貯蔵倉庫も見えます。

  • 平賀駅01
  • 平賀駅02

レトロな雰囲気を発見
「平賀駅」で途中下車

「平賀(ひらか)駅」でえんじ色のクラシックな電車と木造の車庫を発見。えんじ色の電車は昭和36年に関東から弘南鉄道にやってきた電気機関車で、当時は貨物列車を引っ張っていて、今はラッセル車(ラッセル君)を牽引して除雪をしています。「平賀駅」は4階建ての駅ビルで、農協や弘南鉄道の本社があり、弘南線の運行を管理する基地となっています。昭和2年に鉄道が通る前は初代社長が所有する水田が広がっていて、駅が作られると商店街が出来ていきました。

ホテルアップルランド01

旅の合間に
無料の足湯でフットケア

「平賀駅」から約15分歩いて「南田温泉 ホテルアップルランド」へ。旅のフットケアには、無料で開放している弱アルカリ性の源泉掛け流しの足湯「美足の湯」がおすすめです。全身で温泉に浸かってゆったりしたい時は、ホテル内にりんごを浮かべた大浴場や貸し切り風呂(共に有料)があります。「アップルランド」は、もともとはりんごの仲買業から始まりました。現在も敷地の入り口にりんごの出荷場がありますが、冬の作業で冷えた女性作業員の体を温めたいという創業者の思いで温泉を掘削したそうです。
※現在、足湯にはりんごは入っていません。

ホテルアップルランド02

りんごを持った観音様

南田温泉ホテルアップルランドアクセス
足湯営業時間/9:00〜21:00、 料金/無料
営業期間/4月23日〜10月31日まで
TEL. 0172-44-3711
青森県平川市町居南田166-3
弘南鉄道弘南線「平賀駅」徒歩約15分、
宿泊者限定で「平賀駅」「弘前駅」より送迎バスあり(要予約)
足湯
津軽尾上

東北の駅百選にもなった素朴な駅

「津軽尾上(つがるおのえ)駅」は、石積みのホームと昭和の面影のある改札など、ローカル線の雰囲気が味わえる駅です。平成14年には、東北の駅百選に選定されました。弘南線が昭和2年に開業した時は、弘前駅と津軽尾上駅間の運行で、ここが弘前行きの始発駅でした。

  • 神殿風の造り
  • ホームの看板

「津軽尾上駅」には
隠れた魅力が!

駅から約10分ほど歩くと、ジブリ映画のモデルになった「盛美園」や由緒のある「猿賀神社」がありますが、駅舎の屋根は神社を模した神殿風の造りになっています。また、駅名標をよく見ると、隣の駅の「おのえこうこうまえ」の表示にうっすらと「いなかだて」の文字が透けて見えます。「尾上高校前駅」は後から新設された駅だということがわかります。

「津軽尾上駅」の寄ってみたいお菓子処

「菓子処西谷(にしや)」の桃のどらやきは、桃のピューレの白あんが風味豊かでほっこりします!桃スイーツは他にもドーナツやロールケーキ、パウンドケーキなど種類が豊富。

菓子処西谷アクセス
営業時間/8:00〜19:00  休日/不定休  TEL. 0172-57-2240
青森県平川市尾上栄松61-2  弘南鉄道弘南線「津軽尾上駅」徒歩約5分
  • スイーツ
  • 桃のピューレ
菓子処西谷
大和温泉01

駅前には昭和レトロな
美人の湯

「津軽尾上駅」から徒歩1分にある「大和温泉」は、アルカリ性単純温泉の昭和レトロな美人の湯。体が冷めにくい「熱の湯(ねつのゆ)」として地域の方に親しまれています。昭和13年に通常の銭湯として創業しましたが、昭和52年に温泉を掘り当て、温泉銭湯となりました。

  • 大和温泉02
  • 大和温泉03

観光客も大歓迎
日帰りセットも用意

一時、存続の危機もありましたが、現在の3代目が跡を継ぎ、若い世代にも注目されるようにWEBサイトの立ち上げ、SNSの活用やロゴやオリジナルタオル(380円)の制作などをプロデュース。地域の年配の方のために「送迎付き入浴回数券(ご近所様限定)」の販売を始めたり、観光で訪れた人も気軽に利用できるように「手ぶらで入浴セット(バスタオル、フェイスタオル、シャンプー、リンス付、入浴料込み650円)」も用意しました。

大和温泉04

『ただいま』と言って
入ってきて欲しい

大和温泉は、建物が古くレトロな雰囲気が注目されがちですが、目指しているのは、お客さんが『ただいま』と言って入ってくる銭湯。昔ながらの“レトロな関係”があるお風呂屋さんです。風呂上がりは、懐かしい味わいのビン入り牛乳(写真はフルーツ牛乳)で決まり!女湯には、大変珍しい「釜型ヘアドライヤー」が! 50年くらい前のものですが今も現役で活躍しています。

大和温泉05

源泉掛け流しの大浴場、寝湯、サウナ、フリーWiFiも完備

大和温泉アクセス
入浴料/大人400円
営業時間/7:00~22:00
定休日/毎月1日、15日(日曜祝日は翌日)
TEL. 0172-57-2852
青森県平川市中佐渡南田1−2
弘南鉄道弘南線「津軽尾上駅」から徒歩約1分
大和温泉06
田舎館駅01

「田舎館駅」は
小さな現代美術館

駅舎の中は、壁も天井もドアも長イスも、空き缶BOXまで、全体がモノクロのドローイングで包まれています。これは地元出身のアーティストGOMAさんの「ART STATION」という作品。2020年5月に「新型コロナ渦に負けない元気をみんなに!」という思いで弘南鉄道とのコラボが生まれました。インスタ映え写真撮影コーナーもあります。

田舎館駅02

大きな目玉と
うごめくモンスターたち

アートは、白ペンキで下地をつくり、黒のペンで描かれています。GOMAさんは下書きなしで直感的に手が先に動ごくそう。インクのかすれや線の強弱など、手書き独特のテクスチャーに味わいがあります。天井の中心には目ヂカラが強い大きな目玉。その周りにも目がいっぱい。愛嬌のあるモンスターや表情豊かな花々、不思議なビル群もあり、見る度に新しい発見がありそう。

  • 田舎館駅03
  • 田舎館駅04

レトロとアートで
ギャップ萌え

レトロな外観からは、中の世界は想像もできない「田舎館駅」は、昭和25年に 開業しました。かつては駅舎内に喫茶店もあったとか。駅名標の上には消えそうになっている旧字体の「田舎館驛」が見られます。鉄道開通の折り、村の中心部に駅を作ると若者が街に遊びに行くから良くないとか、農地が無くなるという理由で、少し辺鄙な現在の位置に建てられたという逸話があります。

  • レンタサイクル
  • 黒石観光案内所

「黒石駅」駅前で
自転車を借りて・・・

「黒石駅」駅前の「黒石観光案内所」にはレンタサイクルがあります。歩いて行くにはちょっと遠いスポットは自転車が便利。今回は田んぼがテーマの旅なので、田んぼが眺められるカフェと地元産のお米で作ったおにぎりが並ぶお店へ行ってきます。
※レンタサイクルは、天候や季節等により貸し出し状況が変わります。詳しくは黒石観光案内所まで事前にお問い合わせください。
料金:1日300円/台
利用時間:9:00〜17:00
青森県黒石市緑町1-187
Tel. 0172-88-8815

ピノコーヒーロースター01

田園風景の中にある
本格コーヒー専門店

「境松駅」や「黒石駅」から少し距離がありますが、“田んぼ鉄道ファン”なら要チェックの「PINO Coffee Roaster(ピノコーヒーロースター)」。入り口のドアを開けると、右手に存在感のある焙煎機があり、左手のカウンターの奥にはエスプレッソマシーンが見えます。ふわっと漂ってくるコーヒーの香りがなんともいい気分にさせてくれます。夏の田んぼを眺めながらテラスで飲むエスプレッソトニック(480円)はとても爽やか。コーヒーと炭酸の組み合わせが新鮮。メニューは他にもハンドドリップコーヒーやカプチーノ、ティラミスラテ、アイスカフェモカなど、迷ってしまうドリンクがたくさん。

  • ピノコーヒーロースター02
  • ピノコーヒーロースター03

ピュアな思いを込めて
美味しさを追求

ピノコーヒーのコーヒー豆は、生の状態で一粒一粒をチェックして、欠点豆を取り除いてから丁寧に水洗いします。そして自然乾燥させて焙煎します。更に焙煎後も良い豆だけ選定してようやく完成となります。美味しく飲んでいただきたいと2〜3日の工程をかけています。その手間ひまを大切にしているので、ランチや軽食類は用意できなくてコーヒーだけのメニューになっています。

  • ピノコーヒーロースター04
  • ピノコーヒーロースター05

地元の方々が
楽しめるコーヒーを!

オーナーは、コーヒー大国イタリアのバール文化のように、毎日気軽にカウンターで立ち飲みできるカフェをイメージしてこのお店を始めたとか。自宅でも外でも楽しめるようにドリンクはもちろんコーヒー豆もテイクアウトを用意しています。豆だけ買っていく農家さんも多いそうです。

ピノコーヒーロースターアクセス
営業時間/11:00~19:00
定休日/火曜、水曜、年末年始
TEL. 0172-55-7553
青森県南津軽郡田舎館村大字東光寺字前田27-4
弘南鉄道弘南線「黒石駅」から自転車で約15分、
徒歩約40分、「境松駅」から徒歩約20分
スマイルキッチン01

地域の食生活を支える
コンビニエンスストア
「スマイルキッチン」

「スマイルキッチン」は、もともとは「オレンジハート」というコンビニのチェーン店でしたが、もっと地域の皆さんを喜ばせることを目指し、独立したお店「スマイルキッチン」になり、オリジナルレシピでおにぎりやお弁当、総菜を店内で作りはじめました。初代女性オーナーのレシピは、今も引き継がれています。

  • スマイルキッチン02
  • スマイルキッチン03

豪雪地帯だから
お米が美味しい

津軽地方は、江戸時代から農地改革が盛んな米どころでした。実は弥生時代の水田遺跡も発見されていて約2000年前からお米を作っていたようです。雪がたくさん積もる山から、ミネラルなど栄養を豊富に含んだ雪解け水が川に集まり、地下に潜り、里の水田へ流れます。また、津軽は昼夜の寒暖の差が大きいので美味しいお米が育つと言われています。地元で人気のおにぎりの具は、「すじこ」。青森県はすじこ消費量全国一。「すじこおにぎり」は青森のソウルフードです。

  • スマイルキッチン04
  • スマイルキッチン05

自家栽培の野菜と
量り売りスタイルが人気

朝6時には料理をお店に並べられるように、4時頃から準備を始めているとか。自家栽培の野菜を使った、一品づつ選べる量り売りの総菜は、子供のお弁当用にお母さんが買いにきたり、一人暮らしの方が利用したり、農家さんが畑で食べるおかずとしても重宝されています。津軽ならではの料理やクレープなどのスイーツもあり、店内は彩り豊かです。

スマイルキッチンアクセス
開館時間/6:00~21:00
定休日/年中無休
TEL. 0172-53-6277
青森県黒石市青山81−1
弘南鉄道弘南線「黒石駅」から自転車で約10分、
徒歩約30分
「田んぼ鉄道」の地図

「田んぼ鉄道」の地図

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