こけしと
昔ながらの
湯治場の風景
黒石市
黒石は、江戸時代から町民文化が栄えた城下町。町の中心には「日本の道百選」に選ばれた「中町こみせ通り」があり、酒屋や商家が軒を連ねます。温湯地区は400年以上の歴史を持つ湯治場や伝統こけしが生まれた里山。風情のあるスポットが満載です。
紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。
1 黒石の3つの名湯
温湯(ぬるゆ)で
温々(ぬくぬく)!
「温湯温泉(ぬるゆおんせん)」は、黒石市郊外で400年以上続く、ひなびた湯治場です。温泉街は、ただ一つの共同浴場「鶴の湯」を囲んで、旅館、民宿、昔ながらの「客舎」などが建ち並んでいます。「温湯」の名は、入ると体の芯までぽかぽかになる“温かな湯”ということから、江戸時代に京の公家が名付けたといわれています(諸説あり)。
ツルも人も、癒される
「鶴の名湯共同浴場」
温湯の源泉かけ流しの共同湯は、一羽のツルが傷を癒していたことから発見されたといわれ「鶴の湯」と呼ばれています。夏の土用の丑の日には、温泉にご神体の牛の像を入れる「丑湯祭り(うしゆまつり)」が行われます。この期間に入浴すると普段の何倍もの温泉効果があるとか!? 泉質はナトリウム・塩化物泉。神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性リウマチ等に効能があるといわれています。
- 鶴の名湯温湯温泉アクセス
- 営業時間/4:00~22:00 (入館21:30まで)
- 定休日/無休)
- 入浴料/
大人 250円、子供 100円 (3歳以下無料) - Tel. 0172-54-8591
- 青森県黒石市大字温湯鶴泉79
弘南鉄道弘南線「黒石駅」からバスで約30分、「下温湯」下車徒歩約5分
客舎という
珍しい"外湯"文化
かつての津軽の温泉地では、内風呂が無い「客舎」と呼ばれる宿泊施設に泊まり、食事は自炊、お風呂は共同浴場に入りに行くのが一般的でした。温湯温泉は現代でも「客舎」が残る、たいへん貴重な温泉地です。
元祖ゲストハウス!?
「後藤温泉客舎」
現在、風呂が無く自炊のみの「客舎」は青森でただ一軒「後藤温泉客舎」のみ。江戸〜明治時代に建てられたノスタルジックな木造建物は風情があります。客室は、ふすま仕切り、台所やトイレは共同使用で、他の宿泊者と距離が近いですが、ふれあいが生まれ、一人旅には心強いかも。「客舎」は今でいうゲストハウスかもしれません。
- 後藤温泉客舎アクセス
- 宿泊料/1泊3000円、朝食1000円、夕食1500円(食事は要予約)
- Tel. 0172-54-8318
- 青森県黒石市温湯鶴泉23
弘南鉄道弘南線「黒石駅」からバスで約30分、「下温湯」下車徒歩約5分
客舎の窓越しから見る風景も
ノスタルジック
後藤温泉客舎は、共同浴場「鶴の湯」と向かい合うように並んでいます。窓際に縁側があり、温泉で火照った体を涼めたり、客舎に泊まる人たちのちょっとした交流スペースになっています。中庭には可愛いワンちゃんが!
ロマン漂う旅館建築
「飯塚旅館」
女将さんは何と16代目。飯塚旅館は、400年前に開湯した湯温温泉の中でも古い歴史を持ち、歴史と木の温もりを感じる建物が魅力。かつては素泊まり風呂なしの「客舎」でしたが、現在は源泉掛け流しの内湯があるお宿です。
- 飯塚旅館アクセス
- 収容人員/30人
- 1泊2食付 8,000円~
- Tel. 0172-54-8303
- 青森県黒石市温湯字鶴泉60
弘南鉄道弘南線「黒石駅」からバスで約30分、「下温湯」下車徒歩約5分
大きなこけしが
お出迎え
玄関で出迎えてくれる大きなこけしは、灯ろうになっていて、日が落ちる頃にはあかりが灯り、こけしの笑顔がもっと温かくなります。飯塚旅館の内湯は、源泉約60℃からの掛け流しの檜風呂。夏・冬でそれぞれ入浴に適した水温に整えているので、ゆったり浸かれて体の芯から温まります。日帰り入浴もできますが、3日ほど前に電話で予約が必要です。(入浴料300円)
浅瀬石川に沿う
「板留温泉」
落合温泉の対岸にある「板留温泉」は1624年に開湯。昔、浅瀬石川(あせいしがわ)に湧いていた温泉を板で留めて入ったとか。かつては、川沿いに上の湯、中の湯、下の湯と三つの共同浴場が並び、湯治客で賑わっていました。大町桂月、若山牧水など多くの文人も訪れ、湯に浸かり、瀬の音に耳を澄まして過ごしたとか。現在は数件の温泉宿と民宿が川沿いに軒を連ねています。日帰り入浴も可能です。
- 板留温泉アクセス
- Tel. 0172-52-3488(黒石観光協会)
- 青森県黒石市板留
弘南鉄道弘南線「黒石駅」黒石駅から弘南バス(温川線)約30分、またはJR・弘南鉄道「弘前駅」から(大川原線)約60分「板留」下車
お肌潤う、美肌の湯
「旅の宿 斉川」
源泉掛け流し100%の温泉は、保湿と保温効果に優れた泉質で、まさに美肌の湯。露天風呂を1人で楽しめる壷風呂は至福のひととき。また、館内には津軽の民芸品やアンティークコレクションが飾っていて、時間を忘れて見入ってしまうほど。
- 旅の宿 斉川アクセス
- 泉質/ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
- 効能/皮膚病、神経痛、筋肉痛、婦人病など
- Tel. 0172-54-8308
- 青青森県黒石市板留字宮下8-1
弘南鉄道弘南線「黒石駅」より弘南バス(温川線)約30分、またはJR・弘南鉄道「弘前駅」から(大川原線)約60分「板留」下車、徒歩約1分
山間から岩木山
静かでゆったりした
温泉地
温湯温泉のさらに奥にある「板留温泉」は、のんびりした時間を過ごせるとっておきの場所です。茜色に染まった空と山間から見える岩木山や川沿いに並ぶ温泉宿の灯りがロマンチック。温泉で火照った体を川の瀬の音を聞きながら涼めてゆったりとした時間を過ごせます。
熱々の湯!
「落合温泉共同浴場」
「落合温泉郷」は温湯温泉と板留温泉の間にあり、「黒石の奥座敷」と呼ばれています。写真は、地元の方々が管理している日帰り入浴施設。旅行者も利用できます。近くの「津軽伝承工芸館」には、落合温泉を利用した「足湯」(無料)もあります。
- 落合温泉共同浴場アクセス
- 時間/6:00~21:00 ※21:00前にお上がり下さい。
- 入浴料金/200円
- 泉質/ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
- 効能/リュウマチ・神経痛、婦人病など
- Tel. 0172-52-3488(黒石観光協会)
- 青森県黒石市袋字富田60-1
弘南鉄道弘南線「黒石駅」より弘南バス(温川線)約30分、またはJR・弘南鉄道「弘前駅」から(大川原線)約60分「津軽伝承工芸館・こけし館前」下車、徒歩約1分
2 心をリフレッシュ
座禅で無になる
「瑠璃山 薬師寺」
「鶴の湯」から徒歩2分。温湯温泉の守り本尊で、「丑湯まつり」のご神体はここに安置されています。禅宗の一派である黄檗宗(おうばくしゅう)のお寺で、坐禅体験ができます。旅の途中で「無」になる時間も貴重です。住職からいろいろとお話が聞けます。
- 瑠璃山 薬師寺アクセス
- ※座禅体験希望は電話にてお問い合わせください。
- Tel. 0172-54-8365
- 青森県黒石市温湯鶴泉12-4
弘南鉄道弘南線「黒石駅」より弘南バス(温川線)約30分「下温湯」バス停下車、徒歩約3分
推定樹齢500年の
石割カエデ
県指定天然記念物で、推定樹齢500年といわれる「石割カエデ」が境内で存在感を示しています。幹は空洞になって、表面にはコブや節が立ち、ボコボコになっていますが、命をつないできた古木の生命力を感じます。
神秘の森の一代様
「袋観音 白山姫神社」
温湯温泉の南側の小高い森に「白山姫神社(しらやまひめじんじゃ)」があります。津軽では、自分の干支によりお参りする神社が決まっていて、自分のご本尊を「津軽一代様」といい、ここは「丑年」の一代様です。鳥居をくぐると推定樹齢400年の大きな銀杏の木。森の中へ細い階段が続いています。参道には三十三の観音様が順番に並び、古津軽の神秘と癒しが感じられるところです。
- 袋観音 白山姫神社アクセス
- 青森県黒石市袋富山112
温湯温泉共同浴場から徒歩約20分、津軽こけし館から徒歩約15分
誰かが置いた
木の杖でプチ巡礼
息を切らすほど、傾斜がきつく、道幅も狭く、歩きにくいですが、誰かが置いてくれた「木の枝の杖」を頼りに歩けます。33ある観音様は、それぞれ表情が違ったり、体の動きや腕の形も様々で、キャラクターの違いがあります。
3 黒石こけし
東北しかない
伝統こけし
聖地のひとつがココ!
「伝統こけし」は、東北地方だけ! こけしは、江戸時代末期から、東北の湯治場で子供のおもちゃとして作られたものです。地域によって形も絵もいろいろ。温湯温泉こけし(津軽こけし)の特徴は、オカッパ頭でくびれ腰、裾広がりの足元、そしてアイヌの模様やねぶた絵が描かれています。「津軽こけし館」は、約400本のこけしを展示。こけしのグッズもお土産も揃ってます。
自分だけの
オリジナルこけしを作る
「津軽こけし館」では、津軽系こけし工人が直接指導してくれます。旅行の記念に、世界に1本だけの自分だけのオリジナルこけしを作ってみよう!
- 津軽こけし館アクセス
- 産こけし絵付け体験1,200円(津軽系こけし工人が直接指導します)※要予約 詳しくはお問い合わせください。
- 営業時間 /9:00〜17:00
- 休館日/年末年始(12月29日~1月3日)
- Tel. 0172-54-8181
- 青森県黒石市大字袋富山72-1
弘南鉄道弘南線「黒石駅」より弘南バス(温川線)約30分、または「弘前駅」より(大川原線)約60分、「津軽伝承工芸館・こけし館前」下車、徒歩約1分
こけしグッズは
全部買い?
こけしがモチーフになっているグッズが各地方からたくさん集まっています。どれも可愛く見えて全部欲しくなります。冷やしてあった「こけしラムネ」で喉を潤しました。
黒石限定
アイテムにも注目!
こけし作家と黒石のお菓子屋さんがコラボした「こけしのあたまんじゅう」が大人気。黄身餡をもっちもちな生地で包んだおまんじゅうです。