古津軽 古津軽

KOTSUGARUPERSON

古津軽を紡ぐ人

  • りんご畑のマメコバチは
    働き者で健気。
    一緒に働く家族のよう。

    きむら果樹園
    木村 央(ひさし)氏

平川市で100年以上続くりんご農家(きむら果樹園)の5代目、木村央さんにお話をお伺いしました。(こつがる女子部は、きむら果樹園さんでマメコバチの巣作りや摘花作業を体験させていただきました。)

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木村さんは、昔ながらの自然な方法を取り入れながら、りんごを作られているそうですね。
木村さん :
自然の力はすごい。「栽培するぞ」とか「こう育てよう」というより、自然のポテンシャルを活かした農業がしたいんだよね。自分はあくまで木が健康に成長していくためのお手伝いをしている感じかな。
  • きむら果樹園 木村 央さん
  • 春のリンゴ園を飛び回るマメコバチ
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なるほど!だから、マメコバチのことも大切にされてるんですね。
木村さん :
うん。津軽ではね、昔っから、茅葺きの家とか自然の中でマメコバチが巣を作りながら暮らしてて。そのマメコバチに授粉作業のお手伝いをしてもらおうと、りんご農家が巣を作って飼うようになったんだよね。でも巣の更新作業がなかなか大変で…。
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巣の更新作業って?
木村さん :
マメコバチの巣は、川沿いに生えるアシガヤっていう細長い筒状の植物で作ってるんだけど、 ちょうどいい長さに切り揃え、束ねたものを、りんご箱にびっちり詰めていく。しかも、巣として3~5年ぐらい使ったら、新しいアシガヤに交換しないといけない。
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巣が古くなると、どうなるんですか?
木村さん :
巣の中に天敵のコナダニが発生して、マメコバチの幼虫が食べられてしまう。それで段々とマメコバチの数が減ってしまったんだよね。
  • 巣の中でじっと春を待つマメコバチ(蛹)
  • りんごの木にもそれぞれ性格があると話す木村さん
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うわー、大変!
木村さん :
でも、元気なマメコバチに毎年会えるように、手間かけて快適な家を作ってあげないとね。
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マメコバチさん、ブーン、ブーンって、とってもうれしそうですね!!
木村さん :
ふふふ。まんず、めんこいよね。 マメコバチはミツバチより少しちっちゃい日本の在来種。針が退化してて、人に害を及ぼさないんだよね。 冬の間は、アシガヤの巣の中で春をじっと待ち、りんごの花が咲くと同時に巣から飛び出す。雄は交尾をしたら役目を終え、雌はアシガヤの中のお部屋に餌になる花粉をせっせと集めて花団子を作って卵を産む。一生懸命働いて健気でさ。めんこくてずっと見ていられる。
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マメコバチたちが全部の木の授粉作業をしてくれるんですか?
木村さん :
りんごの授粉作業って、開花期のほんの1週間から10日の間に済ませなければならないんだよね。 マメコバチの巣の近くにある木はマメコバチに任せて、 巣から離れている木は人の手で。 昔から自然に生息していたマメコバチと人が一緒になって働けば、作業の省力化にもなるし、自然界の原理を活かしての生産活動ということで、今流行りの「持続可能」だよね。
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持続可能につながった!すご~い!!
木村さん :
一緒にりんご作ってるんだから、家族みたいなもんだし、これからもっと増やしていきたいな。
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いいですね♡ りんごづくりに、マメコバチがこんなに活躍してるなんて。驚きでした。木村さん、ありがとうございました。 マメコバチさんと一緒に、おいしいりんご作ってくださいね。
木村さん :
(うなずきながら、)りんごの木って、人と同じにそれぞれ性格があるかなって思ってて。できるだけの時間を畑で過ごし、木の声を自分なりに感じ取って、それを消費者の皆さんに伝えていけたらいいな。ちょっとスピリチュアルかな(笑)