古津軽 古津軽

KOTSUGARUPERSON

古津軽を紡ぐ人

  • こぎん刺しは、時間の積み重ね。
    空いている時間を活かして、
    手間暇をかけて完成させるのが
    魅力。

    佐藤陽子こぎん展示館
    佐藤 陽子 氏

佐藤陽子こぎん展示館」は、こぎん刺しの歴史そのものを体感でき、海外からもこぎんファンが訪れる、こぎん刺しの聖地の中心ともいえる場所。こぎん刺しの第一人者 佐藤陽子さんにお伺いしました。

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今やオシャレの一部として、こぎん刺しは大人気ですね!
佐藤さん :
そうなの。十数年ほど前までは、津軽の人にとって古いこぎん刺しは人様に見せるようなものではなかったのだけれど、それが、今では自分なりに楽しんで「モドコ※」を使ってピアスやヘアバンドを作ったり、アクセサリーとして身に着けたり。藍色だけじゃなく、カラフルな色も増えたわよね。

※モドコ・・・こぎん刺しの基礎模様

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こぎん刺しのピアスとか可愛いいですよね(^^)!
若い作家さんも増えた感じがします。
佐藤さん :
そうなの。今は女性だけじゃなく、男性のこぎん刺し作家さんまでいらっしゃるのよ。女性ともまた違う几帳面さがあって、そういうところが作品から垣間見えるのも面白いの。小学校でこぎん刺しを教えていてもそうなんだけど、女の子と男の子だと、男の子の方がひとさしひとさし几帳面に綺麗に仕上げてくるのよ(笑)
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その模様の「モドコ」も、津軽弁で「まめこ(小さい子供)」「てこな(蝶)」「猫のまなぐ(瞳)」など、可愛らしい名前のものがたくさんありますよね。どれを使うか迷ってしまいそう(^^);
佐藤さん :
実は「モドコ」の呼び名は地域によっても違っていて、種類も40種類以上あると言われているの。皆、自分なりに「モドコ」の意味を解釈して楽しんで使っていて、例えば「ふくべ」はひょうたん=縁起がいいのでお祝いの時に、猫が好きな人は「猫の足」をイヤリングにして常に身に着けていたり。「だんぶりこ」は津軽弁で「とんぼ」のことで、前にしか進まないので、私は常に前向きでいたいから名刺に刺しているのよ。ふふふ。
  • 「だんぶりこ」のアクセサリー
  • 展示館では貴重な古作こぎんに触れることもできます。
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素敵ですね!「だんぶりこ」、身に着けたいです(笑)!
なかなか時間がとれなくて、まだ刺したこともないのですが・・・
佐藤さん :
私が若いころは、仕事の休憩時間や家で料理を煮込んでいる時など、ちょっとした隙間時間にすぐに刺せるように、常に針と糸と布を身近に置いて、すぐに取り出せるようにしていたの。その、ちょっとした時間の積み重ねが、こぎん刺しだと思うのよ。昔の人も、農作業などの間のちょっとした時間を見つけては、刺していたのかもしれないわね。
こぎんを半分まで刺していて、残り半分を刺すだけのキットもあるから、ぜひ、そこからチャレンジしてみて。
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それは、ありがたいです(笑)!
最後に、佐藤さんからこぎん刺しの魅力を一言でお願いします。
佐藤さん :
こぎん刺しの起源は明らかではなく、ベールに包まれているのだけれど、そこがまたロマンがあると思うの。当時の女性たちのくらしぶりに思いを馳せながら、自分もひとさしひとさし時間を積み重ねる。それが、こぎん刺しの醍醐味であり、魅力かな。