古津軽 古津軽

マタギの
暮らしと仕事、
白神山地を感じる

西目屋村

西目屋村は、世界自然遺産「白神山地」を有する村。白神山地は、ブナの原生林が広範囲に広がり、生態系が豊かな山域で、熊を撃ち、山菜を採り、炭を焼き、マタギが命を繋いできた山です。西目屋村の奥は、青森県で最大規模の縄文遺跡も発掘されるなど、古代の時代から人々が白神の自然と共存する暮らしを続けてきたことがわかります。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

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目屋マタギ01
  • 目屋マタギ02
  • 目屋マタギ03

1 目屋マタギ

偉大なるうら山で
命を繋ぐ

西目屋村のマタギは、「目屋マタギ」と呼ばれ山を縦横無尽に歩き、山の恵みを知り尽くし、山と暮らしてきた人たちです。山のしきたりを守りながら、春は、ふきのとう・たらの芽など若芽の山菜、夏にかけて、ぜんまい・根曲がり竹・わらび・ミズの山菜と岩魚やサクラマス、秋になると、まいたけ・さもだし(ならたけ)のきのこ類や木の実を採取します。冬は、野うさぎやヤマドリなど小さな獣を必要な分だけ感謝の心を持って狩りをします。雪解けとともに、“神からの授かりもの”とマタギが呼ぶ「熊」の狩猟を一定の期間だけ行います。マタギは、山で採取や狩猟をするだけでなく、自宅のある集落で、野を耕し、米や野菜も作っています。

マタギ舎の豆腐01

極寒の時期に仕込む
マタギ舎の豆腐

マタギ舎のツアーでは「伝統の目屋豆腐づくり」を体験できます。マタギが自ら無農薬でつくった豆を豆腐にします。豆は、毛豆、枝豆、だだちゃ豆など、その時の収穫状況に合わせた豆を使います。豆腐作りは寒い時期が向いているので、12月から3月くらいに作ります。冷蔵庫のない時代に日持ちを良くするためでもありました。マタギの里では、昔は、正月のごちそう用に豆腐小屋に集まって作ったそうです。薪で焚いた豆を「コナギ」で混ぜながら、香りや見た目で出来上がり具合を確かめます。
※「コナギ」とは、先が広くなった船を漕ぐ櫂のような木の棒です。ご飯を盛るしゃもじ、雪山を歩く杖、鍋をかき混ぜる棒など、大きさを変えてマタギは手作りしますが、すべて「コナギ」と呼ばれています。

  • 目屋マタギ04
  • 目屋マタギ05
  • 目屋マタギ06
  • 目屋マタギ07
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  • 目屋マタギ10
  • 目屋マタギ11
  • 目屋マタギ豆腐 寄せ豆腐01
  • 目屋マタギ豆腐 寄せ豆腐02

寄せ豆腐は
あつあつ、ほくほく

豆腐作りの途中で、「試食タイム」が始ります。煮詰めてできた湯葉や豆乳、固める前の寄せ豆腐など。お家の奥からは、ブナの実やお酒づくりで使った梅の実、自家製薬草なども出してくれました。まさに「山の恵み」を満喫。

上の写真は、左から熊の頭蓋骨、縄こだし(山菜などを入れるバッグ)、かんじき(雪山を歩く道具)、キハダの実、春の山菜、薪ストーブ、熊の手、お酒に漬けた梅の実

マタギ

撃つたびに、鬼になる
だから
「又鬼(マタギ)」

先代のマタギの長の話では、マタギは何の恨みもない動物を殺さないといけない。せめて動物には一瞬も苦痛を与えないように、撃つ時は「鬼」になる。猟をするたびに「また、鬼になる」。だから「又鬼(マタギ)」ともいうそうです。長い間そうやって山に生かされてきましたが、白神山地が世界自然遺産に登録されたことで、猟や山菜採りをする場所が減ってきて、マタギ文化の存続に危機感を感じるようになり、そこでマタギ文化の継承と自然とともに生きてきた知恵を伝えるために、白神マタギ舎は設立されました。マタギは年中、山に入りましたが、生態系には影響を与えませんでした。自然を守る重要性も白神マタギ舎のツアーでは伝えています。

  • マタギ舎の豆腐02
  • マタギ舎の豆腐03

道具も手作りすると
さらに美味しくなる

豆腐造りにかかせない木箱はマタギの手作り。穴の数に工夫の跡が。実はマタギは木工が得意で、前述の「コナギ」のように必要な道具は自分で作ります。

白神マタギ舎ツアー
お問い合わせ/白神マタギ舎
Tel. 0172-85-2628(8;00~22:00)
ツアー集合場所(一例)/
青森県中津軽郡西目屋村田代字神田219-1
「道の駅 津軽白神 Beechにしめや」
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約5分

白神マタギ舎ホームページ
http://matagisha.sakura.ne.jp/
マタギ舎の豆腐料理

山の恵みを
おすそわけ

冷や奴、湯豆腐、おみそ汁、そしておからのサラダ。シンプルだけど、とても贅沢。いただきます!

目屋豆腐の料理
西目屋
  • 目屋人形01
  • 目屋人形02

山の奥から里へ
炭を背負う娘たち

マタギが暮らしていた西目屋の奥の地域「奥目屋」は、今はダムの底に眠っています。ここはかつて有数の炭の産地でした。しかし、山奥のため、炭の運搬に馬を使えず、昭和の初めごろまで人力で炭俵を里に運んでいました。重い炭俵を背負って歩いたのが目屋人形のモデルとなった若い娘たちです。藍絣の野良着にほおかむりをした姿は人形となり、昭和の初めに土産物として作られ、弘前や東京で売られました。「こぎん刺し(西こぎん)」は野良着に施した刺繍がルーツになっています。目屋人形は、「道の駅 津軽白神」で販売しています。初期の人形は猫背で苦痛の表情を浮かべていましたが、近作では背筋が伸びて微笑みを浮かべています。

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白神トレッキング01
  • 白神トレッキング02
  • 白神トレッキング03

2 白神トレッキング

「ブナ林散策道」を歩く

白神山地は、東アジア最大級の原生的なブナ林が広がる地域。ブナを中心とした豊かな生態系が価値があると認められて、平成5年に世界自然遺産に登録(日本初)されました。
「世界遺産の径 ブナ林散策道」は、世界遺産(緩衝地域)の中ですが、歩道が整備されて、手軽に歩くことが出来ます。晴れた日のブナ林は、見上げると点描画のような葉っぱが透過光にきらめいて、緑のシャワーを浴びているようです。雨の日のブナ林も楽しみ方があり、水を得た植物はいつも以上に緑が濃くなり生き生きとしています。散策道の入口では、ブナの森の水を飲むことが出来ます。

ブナの実

熊も大好きブナの実

ブナの森は、腐葉土を分解する微生物、それを食べる昆虫、虫や木の実や花を食べる鳥類や爬虫類、哺乳類まで、食べる食べられるの関係(生態系)をつくる「森の母」です。ブナは、数年に一度だけ実をつけますが、栄養豊富で味が良く、熊も山ネズミも大好きです。アクがないので人間が食べてもたいへん美味しいです。白神山地にはブナがあるから熊が生きられ、熊がいるからマタギの暮らしがありました。ブナは、動物に住みやすい環境を作り、人間にとっても心の浄化やストレスを解消させる力があるといわれています。

世界遺産の径 ブナ林散策道アクセス
散策可能期間/4月下旬~11月上旬
問い合わせ/アクアグリーンビレッジANMON
Tel. 0172-85-3021
青森県中津軽郡西目屋村川原平国有林内
弘前バス 白神ライン直通バス
「アクアグリーンビレッジANMON」から 
徒歩約10分 ※11月〜翌5月は運休
暗門の滝

秘境の「暗門の滝」

白神山地のふところにある「暗門の滝」は、高さ26m、37m、42mの3つの滝が集まっています。江戸時代の紀行家が訪れた記録はありますが、昔から近寄りがたい秘境と知られていました。現在、第2の滝まではルートを整備していますが、谷が深く、沢を渡る箇所もあり、初心者だけや単独での散策は避けた方がいいでしょう。専門ガイド付きのツアーがおすすめです。「アクアグリーンビレッジANMON」には、「モンベル」のヘルメットやトレッキング用の靴などレンタルコーナーも充実しています。

暗門の滝アクセス
散策可能期間/6月下旬~11月上旬
問い合わせ/アクアグリーンビレッジANMON
Tel. 0172-85-3021
青森県中津軽郡西目屋村川原平国有林内
弘前バス 白神ライン直通バス
「アクアグリーンビレッジANMON」下車 
※暗門渓谷ルート入口までは徒歩約10分、
ルート入口から第3の滝まで徒歩約1時間
※11月〜翌5月は運休
マザーツリー

折れても生命力を示す
「マザーツリー」

ブナの寿命は300年ほどですが、マザーツリーは、樹齢約400年。長寿で幹周りは5m弱、高さ約30mの樹形も美しいことから白神山地のシンボルツリーになっています。しかし、平成30年の台風により地上から9mのところで折れてしまいました。ですが、残った枝からは若葉が芽吹き、まだまだ生きようとするたくましさを感じさせます。そして、大木が倒れたことでまわりが明るくなり、近くの若木が大きく成長できるようになります。数百年という森の世代交代を見学できるのは今。折れた幹もあえてそばに横たわらせています。

マザーツリーアクセス
散策可能期間/6月~11月上旬
問い合わせ/アクアグリーンビレッジANMON
Tel. 0172-85-3021
青森県中津軽郡西目屋村川原平国有林内
弘前バス 白神ライン直通バス
「津軽峠」下車徒歩約5分
※11月〜翌5月は運休
  • 鷹ノ巣自然歩道01
  • 鷹ノ巣自然歩道02

マタギ小屋と岩壁
「鷹ノ巣自然歩道」

鷹ノ巣自然歩道は、岩谷観世音の駐車場から降りて、吊り橋を渡り、対岸の森へ続きます。復元されたマタギ小屋と炭焼き小屋を眺めながらさらに先へ進むと、ごつごつした岩壁があらわれます。この岩肌のあちこちに空いている穴に、昔、大鷹が棲んでいたといいます。大鷹は農作物を狙う小動物を撃退したそうで、村人達に大事に思われていました。

鷹ノ巣自然歩道アクセス
青森県中津軽郡西目屋村田代字山科
問い合わせ:西目屋村役場
Tel. 0172-85-2800
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約30分
※歩道入口からマタギ小屋まで徒歩約5分
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乳穂ヶ滝01
  • 乳穂ヶ滝02
  • 乳穂ヶ滝03

3 西目屋さんぽ

神秘スポット
「乳穂ヶ滝」

凍る?凍らない? 吉凶を占う「乳穂ヶ滝」。鳥居をくぐると、昼間でも太陽光が木々に遮られて入りにくい薄暗い空間へ。見上げた先には高さ33mの滝が!滝の上方には自然の洞窟があり不動尊が祀られています。乳穂ヶ滝(におがたき)は冬に白い穂のような形に結氷することから名付けられ、江戸時代から太さ、形によって、その年の農作物の豊凶が占われてきました。毎年2月第3日曜に「乳穂ヶ滝氷祭」(護摩祈祷・火渡荒行など)が行われます。

乳穂ヶ滝アクセス
問い合わせ/西目屋村役場
Tel. 0172-85-2800
青森県中津軽郡西目屋村田代
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約12分
  • 西目屋さんぽ01
  • 西目屋さんぽ02

キャラメルの匂い!?
晩秋の桂

10月になると、里山では甘い香りが漂っています。これは「桂(かつら)」という落葉高木の葉っぱが香りを出しているから。キャラメルのような、バニラのような、スイーツ系の甘い香りです。落葉して乾燥すると香りは強くなります。桂の木は、水脈のある場所を好み、渓流沿いに良く育ちます。西目屋では、「岩谷観世音」降り口の林、「グリーンパークもりのいずみ」の広場など。もりのいずみの隣りの「鹿嶋神社」(建立1200年)にある仏像は、坂上田村麻呂が桂の木を彫ってつくったものだとか。葉の形もハート型で可愛い桂の木を西目屋村で探してみよう!

岩谷観世音01

神秘すぎる
「岩谷観世音」

入口の赤い鳥居をくぐると、林の中に木道が続き、樹々の先に川面が見えてきます。津軽平野を流れるゆったりとした岩木川とは違い、急峻な崖に囲まれた渓谷になっています。(秋は紅葉の名所です。)木製の階段を川近くまで降りると、人ひとりがやっと歩ける道が岩肌を縫うように曲がり、先は見えません。パイプの手摺りのスリリングな道を慎重に進んでいくと、洞窟があらわれ、中に赤いお堂があります。はしごを上がると小さな祠があり、洞窟の奥からは湧水が流れています。洞窟の黒を額縁にして渓谷の美を眺めるのも一興です。

岩谷観世音アクセス
問い合わせ/西目屋村役場
Tel. 0172-85-2800
青森県中津軽郡西目屋村田代
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約30分
  • 岩谷観世音02
  • 岩谷観世音03

身代わりになった
馬を洞窟に弔った

入口の赤い鳥居には、珍しい狛馬(神馬像)と招き猫の像があります。馬は神様の乗り物ですが、昔から農家にとって大切な働き手でした。岩谷観世音のいわれも大切にしていた馬の逸話です。それは、二本の角がある神馬に乗る人物がここで落馬しましたが、馬が身代わりになり命が助かったということで、祠を作り、馬の霊を弔ったということです。

カフェルーラル01
  • カフェルーラル02
  • カフェルーラル03

「田舎らしい」
という意味の
「カフェルーラル」

「カフェルーラル」は「道の駅津軽白神」の裏手の住宅街にある、隠れ家的な雰囲気。弘前出身のオーナーは、初めて訪れた時に、西目屋にカフェをオープンしようと決めました。玄関ドアにはクマゲラのステンドグラスがお出迎え。お店は民家を大工さんと一緒にリノベーション、白壁と木の温もりを残しました。ランプ、テーブルや椅子、お皿やコーヒーカップなど、リスペクトしている作家のアイテムで溢れています。写真の「とろ〜りオムレツ(ドリンク付 950円)」は、ふわとろ卵にトマトソースと生クリームがからみ合い、香りだけで美味しさが伝わります。ライスは白飯で、味がついたソースにちょうどいい感じ。りんごのスイーツは実家で採れたりんごで作っています。旨いコーヒーを飲みながら、柱時計のきざむ音にほっこりできる場所です。

カフェルーラル04

階段の奥の部屋にはギャラリーを併設。青森県内外を問わずご縁ある作家さんの作品が並んでいます。

カフェルーラルアクセス
営業時間/10:30〜16:00(L.O.15:30)
定休日/火・水曜 ※11月上旬〜翌4月頭まで冬季休業
Tel. 0172-85-2213
青森県中津軽郡西目屋村神田166-3
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約7分
カフェルーラル05
道の駅 津軽白神01
  • 道の駅 津軽白神02
  • 道の駅 津軽白神ソフトクリーム

「道の駅 津軽白神」で
ハチミツとアイス

「道の駅津軽白神」にある「BeFavo (ビファーヴォ)」は手作りアイスクリームやイタリアンジェラートに白神でとれたハチミツを自分でかけて食べられます。すばやくエネルギーに変わるハチミツは散策した後に最適。なんと、ハチミツの巣箱は道の駅の屋上に設置してあるそうです。

BeFavoアクセス
営業時間/9:00~17:00(季節により変更有)
Tel.080-2837-4580
青森県中津軽郡西目屋村田代字神田219-1
道の駅 津軽白神 Beechにしめや内
弘南バス 弘前BT~西目屋村役場前線
「西目屋村役場前」バス停から徒歩約6分
「マタギの暮らしと仕事、白神山地を感じる」の地図

「マタギの暮らしと仕事、
白神山地を感じる」の地図

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