古津軽 古津軽

こぎん中編

手仕事

Craft

こぎん巡礼(中編)

弘前を中心とした津軽地域

「こぎん巡礼」の中編は、昔からこぎん刺しが盛んだった旧岩木町に、2021年にオープンした古作こぎんの私設展示館とボタニカルとこぎんを組み合わせる現代こぎん作家のアトリエを訪ねました。ランチは、こぎんグッズが置いてあるカフェの発酵ごはんをいただきます。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

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ゆめみるこぎん館
  • ゆめみるこぎん館
  • ゆめみるこぎん館

1 ゆめみるこぎん館

2021年秋にオープン!
こぎんを愛した女性と
家族の記念館

「ゆめみるこぎん館」は、旧岩木町(現弘前市)で生まれ育った、故・石田昭子さんが収集した古作こぎんの小さな展示室。古作こぎんは、昭子さんが昭和30年代に津軽各地の農村をひとりで訪ね歩き集めました。展示方法がユニークで、こぎんが天井から吊るされ、窓の光で輝いたり、ゆらゆら揺れたりします。昭子さんがご家族と過ごしていたご自宅が展示場となっていて、孫の舞子さんが運営しています。舞子さんは、津軽発のこぎん専門誌『そらとぶこぎん』(津軽書房)の編集メンバーで、昭子さんとこぎんの物語を綴った書籍『ゆめみるこぎん』(グレイルブックス)も上梓しました。写真のイラストは昭子さんが描いた「コギンちゃん」です。

石田昭子さんが収集

『ほんとうに
よく刺したね』と
古作こぎんに声をかける

舞子さんは、古作こぎんを眺めると『本当によく刺したなあ〜』とため息が出るほど感心するそうです。吊り展示だから、麻の透け透け感がよくわかります。こぎんを刺した部分と生地そのままのところの厚さが全然違います!『刺し手は、長い時間を費やし家族を思いながら刺し続け、こぎんを着た家族は刺し手の愛情を身体いっぱいに感じた。』と舞子さんは話します。物質的には貧しい時代だったけれど、創意工夫が人を豊かにし、表現する楽しさ、面白さが生まれました。こぎんは、家族の絆にもなっていたのでしょう。

石田昭子さんが収集

宙(そら)をとぶ、
夢をみる
おばあちゃんのこぎん

昭子さんは、2021年に残念ながら亡くなりました(享年93歳)が、たくさんの面影がのこる「ゆめみるこぎん館」は、まるで親戚のおばあちゃん家に遊びに来たみたい。古民家と民芸品に、こぎんが素敵にマッチしています。また、昭子さんのこぎんは、紺と白が多く、そのシンプルさも心地良いのかもしれません。生前、『色も使ってみたけど、こぎん刺しには藍と白が似合う。藍と白がこぎんの美しさを引き立たせる。』とおっしゃっていたそうです。昭子さんが書いた詩も飾ってあり、『夢見るこぎん 私と手をつないで くるくる回ってる たのしませてくれるコギンさん ありがとう』と綴られてます。ゆめみるこぎん館は、詩そのままの世界でした。

  • 古作こぎん02
  • 古作こぎん03

ほっこりする作品が
たくさん

昭子さんのこぎん作品は、手で触れたり、羽織らせてもらうことも出来ます。写真の左は、毛糸の生地に毛糸で刺したセットアップの洋服。柔らかい着心地で癒し感たっぷり。右のかばんは収集したもので、古いものですが、懐かしさと温かみがあります。昭子さんが作ったかばんも残されていて、布の継ぎはぎやこぎん模様が可愛く組み合わさっていて素敵でした。

石田昭子さんが収集

「刺し子ルーム」に
花のある“暮らし着”

綿布などに模様を刺す伝統手芸「刺し子」も昭子さんは好みました。こぎん館には、「刺し子ルーム」も併設。エプロンや割烹着、洋服、敷物など、昭子さんの作品がたくさん残されています。素朴で美しい刺し子が施され、どれもこれも丁寧に仕立てられています。『手仕事って本当に素晴らしい!』と感銘を受けました。

ゆめみるこぎん館

昭子さんが集めた
民具も展示されています

ゆめみるこぎん館アクセス
入館料/1,000円(税込)
※予約制(電話、またはメールで)
TEL. 090-5194-1278
maikoishita@gmail.com
青森県弘前市高屋字本宮453-1
JR弘前駅から弘南バス「岩木庁舎前バス停」から徒歩約5分
https://www.instagram.com/maiko.ishita/
ゆめみるこぎん館
02
MADE IN Tsu.girl 01
  • MADE IN Tsu.girl 02
  • MADE IN Tsu.girl 03

2 MADE IN Tsu.girl

ボタニカル(植物)と
こぎん刺しをMIX

MADE IN Tsu.girlは、津軽の美を上品にとりいれ『さりげなく 伝統工芸品 を纏う』をコンセプトにした、こぎん刺しクリエーターチーム。こぎんの「モドコ」をボタニカル(植物)や津軽塗、藍染、レザー、りんごの木など、異なる素材と合わせて、伝統を守りつつ、現代に馴染むアイテムを制作しています。

ボタニカルこぎん®のガーランド

こぎんを本気で学ぶ
レッスンも

MADE IN Tsu.girl 代表・佐藤さんは、こぎん刺しの普及と作家の育成のため、積極的にワークショップを開催しています。これからこぎん刺しを始めたい初心者向けのコースから、ディプロマを取得してクリエイターを目指すコースや、ボタニカルこぎん®に特化したコースなど、多彩なプログラムが用意されています。私も少しの時間でしたが、岩木山をのぞむ、雑貨屋さんのようなお洒落なアトリエに伺い、ボタニカルこぎん®のガーランド作りを体験してきました。

  • ボタニカルこぎん®のガーランド
  • ボタニカルこぎん®のガーランド

新たな自分が見える!?
ボタニカルこぎん®体験

ユーカリの葉の間に好きな色の紫陽花や木の実を選んで、刺したこぎんを組み合わせます。ボタニカルとこぎんが合体するとオシャレ度もアップ!用意されている素材がすでに可愛いので、自分の実力以上の出来上がりに!ユーカリの花言葉は「再生」。私も新たな自分になれたかも!?他にも、ブーケポシェットやこぎんを贅沢に刺したスワッグのワークショップがありました。プレゼントや自分のご褒美に良さそうです。

こぎんのグッズ

Cool and Cute!
自分が欲しいから作った

アトリエがある旧岩木町は昔からこぎん刺しが盛んな地域ですが、佐藤さんが始めた当時は、こぎんは「おばあちゃんがやるもの」と、若い世代はあまり関心がなかったそう。佐藤さんは、「自分の欲しいものを!」と独自のデザインで作り始め、近くのカフェで飾ってもらったところ、若い女性から「可愛い、欲しい」と人気が出てきました。写真は、こぎん刺しと本革の手帳カバーとがま口。ダークオリーブの本革と渋めの色の糸。男性でも女性でも似合う“かっこ可愛い”デザインです。

  • こぎんとアケビ蔓
  • こぎんと津軽塗り

あけびやうるし...
伝統工芸との融合

青森で自生している植物「あけび」の蔓で編んだの鞄は、使うたびに光沢がでて、上質さが増すとのこと。持ち手もレザーで高級感アップ。こぎん刺しがいい雰囲気を醸しています。「津軽塗とこぎん刺しのピアス」は、鮮やかな斑点模様が特徴の「唐塗」と、もどこの伝統的な模様がマッチング。とびっきり贅沢な小物やアクセサリーをカジュアルなゆる服に合わせる“頑張らないオシャレ!”をMADE IN Tsu.girlは提案しています。

こぎんのお守り

津軽のお寺で
こぎんのワークショップ

お寺でお守り袋をつくるワークショップも開催しています。縁起が良い魔除けのもどこ(模様)を一針一針想いを込めて刺したら、ご祈願いただいたお札を入れて完成です。お問い合わせ先/専求院0172-32-7777(弘前市新町249)

tsu.girlアクセス
アトリエ/青森県弘前市賀田(旧岩木町)
SNSや WEBショップなどで情報発信中
https://lit.link/tsugirl
03
One.natural
  • One.natural
  • One.natural

3 One.natural

糀と野菜のcafe
「わんなちゅらる」

one. natural(わんなちゅらる)は、『今日の食は明日へ繋がる』をコンセプトに、無農薬玄米と野菜を中心に、発酵調味料や無添加の調味料を使用して、日々の疲れた心と身体を癒し、腸から元気になれる「発酵ごはん」を提供しています。お店は、弘前城近くの住宅街にあるアパートの一室にあり、1日数組限定の個室制のカフェです。
実は、このカフェにはTsu.girlさんのこぎんグッズが置いてあります。こぎんを巡りながら、発酵ランチをいただけます。

糀ごはん

小鉢に宝石!?
玉手箱のような
糀ごはん

『わんなちゅ 糀箱ごはん」は、木箱に入ったランチボックス。ワクワクしながら蓋を開けるとキラキラした料理がたくさん詰まっていました。蓋にメニューが記され、「塩麹和え、麹付け、発酵マスタード、味噌、豆乳、ヨーグルト、甘酒ソース」など、発酵づくしのキーワードが並び、料理名には発酵食品の効果、「抗酸化、デトックス、むくみ、免疫力向上、美肌、うつ、腸内環境、ダイエット、夏バテ」などが添えられていました。「糀箱ごはん」は、おまかせメニューですが、メインはmeet(お肉系)かvege(野菜系)を選べて、ドリンクおやつ付きで1,650円(税込)。※メニューは季節により変わります。

  • こぎんとアケビ蔓
  • こぎんと津軽塗り

心が整う
デザートとドリンク!
こぎんも見っけ!

おやつは、乳、卵、小麦、白砂糖不使用で身体に優しく、見た目もキュート。メニューには、米粉のホットケーキやフルーツが乗ったパンケーキ、店主のきまぐれデザートなどがあります。心が整いそうなドリンクも用意されていて、オリジナルハーブティは、その日の体調にあわせてブレンドしてくれるそうです。

糀ごはん

tsu.girlさんの
こぎんコーナーも必見

one.naturalでは、こぎん作家tsu.girl(ツガール)さんの作品を展示・販売しています。ボタニカルこぎんやアクセサリー、バッグなど、いろいろなアイテムがおしゃれな雑貨屋さんのようにディスプレイされていて、ファンが目当てに訪れます。

糀と野菜のカフェone.naturalアクセス
営業時間/11:00〜ランチがなくなり次第終了
定休日/日曜、祝日、第3月曜日
TEL. 0172-36-2668(営業時間内のみ)
弘前市春日町36-12プレシャスガーデンD号
JR弘前駅から弘南バス
「亀の甲門前バス停」から徒歩約6分
※予約は、SNSか電話で
https://lit.link/onenatural
「こぎん巡礼」の地図

「こぎん巡礼」の地図

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