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弘南鉄道弘南線

風景

LANDSCAPE

田んぼ鉄道(前編)

弘前市・平川市・田舎館村・黒石市

「弘南鉄道弘南線」は、どこまでも広がる田んぼの中をほっこり走る2両編成のローカル電車。田んぼの先には津軽富士「岩木山」が大きな裾野を広げています。JR奥羽線に隣接した「弘前駅」から「黒石駅」の間は、13の駅があり3つの市と1つの村をまたいで乗車時間は約35分。そのうち8つの駅は完全無人駅になっています。

紹介している施設は、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から、休館等の対応をしている場合があります。訪問する際は事前にご確認ください。

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弘南鉄道弘南線01
  • 弘南鉄道弘南線02
  • 弘南鉄道弘南線03

1 田んぼの春・夏・秋

雪解け水に
浮かぶ電車

田植え直前の「柏農高校前駅」はまるで水に浮かぶ駅。風が穏やかな時には、走る電車が鏡のように水面に映ります。毎年5月中旬あたりに見られる風景で、日が沈む前は一面夕日に染められて幻想的になることも。田んぼに水を溜めるのは、稲の成長に欠かせない養分が豊富に含まれていることや、水が寒さや暑さから稲を守ってくれます。さらに土の中を酸欠状態にすることで雑草や有害な微生物の発生を防ぎます。稲が水の中でも生きられるのは、茎の中に根っこと葉を繋ぐ空気を通す管があるからです。

弘南鉄道弘南線と田んぼ01

ひよっこ苗を
応援しよう!

田んぼに水を入れて機械で底のデコボコをならしたら、5月中旬頃から6月上旬にかけて、いよいよ田植えが行われます。(その年の気候や天気、地域や農家さんによって異なります。)田植えは一斉に行うので、旅先で作業に遭遇できたらとてもラッキーです!青々とした若い苗はまだ頼りない姿ですが、若い命を感じてなんだか応援したくなります。このひよっこ苗が約5ヵ月後にはお米をたわわに実らせるなんて想像できません。

柏農高校前駅と田んぼ

ホームは絶景展望台
毎日がインスタ映え

弘前駅から黒石駅までの弘南線沿線近くには、4つの高校があり、朝と夕方には車内とホームは学生たちで賑わいます。岩木山や津軽平野の絶景を楽しめるホームもあり、学生たちは四季折々の美しい景色の中を通学しています。今日はどんな夕日だろう。季節によって夕日は色も形も沈む方角も違うので見飽きません。「柏農高校前駅」では電車と田んぼと岩木山を同時にカメラにおさめられます。

  • 弘南鉄道弘南線と田んぼ02
  • 弘南鉄道弘南線と田んぼ03

散歩したくなって
途中下車

車窓の先に見えた田んぼの中の一本道。歩いてみたくて途中下車。田んぼの緑と空の青、遠くの山並みも青。リラックス効果の高い色に囲まれて癒されます。水田を覗くとオタマジャクシやメダカやタニシを発見。虫たち目当てに白サギも飛んできます。「食物連鎖」を身近に感じて一人納得。

弘南鉄道弘南線と田んぼ04

緑色の絨毯を
電車が走る

電車は、日中はだいたい1時間に1本なので、次の電車を待つ間、駅の周りをのんびりぶらぶら。遠くの方から踏切の音が小さく聞こえだし、続けて近くの踏切が「カンカンカン!」と大きな音をならしました。やがて「ガタンゴトン」と電車がやってきました。

柏農高校前駅01

のどかに佇む
「停留場」

春は水の上、夏は緑の草原の中。「柏農高校前駅」の日中は静かな時間が流れています。駅舎をよく見ると外壁には「停留場」の文字が。出発信号機などが無い駅を停留場というようです。この駅はレールは1本しかなく、上り電車と下り電車は交互にやってきます。

柏農高校前駅02

学生と地域の皆さんで作った真っ赤なラウンジ

ホームに大きなLOUNGE(ラウンジ)の文字があります! このラウンジは、地元の高校生と住民の皆さんが協力して塗装したそう。 真っ赤な壁が緑の田んぼに映えています。アルファベットと赤の原色がちょっと外国にいるようにも感じます。

  • 柏農高校前駅03
  • 柏農高校前駅04

中に入ると青空
大きな窓からは田園

ラウンジの中に入ると天井には青空と白い雲が描かれていました。長いベンチに座って外を見ると、本物の雲がゆっくり流れて、稲穂がそわそわと風に揺れています。田園風景をのんびり眺めて、電車を待つのも一興です。

尾上高校前駅

「尾上高校前駅」でも
田んぼを楽しむ

「柏農高校前駅」から2つ隣の「尾上高校前駅」は、弘南線沿線の中でも、もっとも田んぼの風景を独り占めできる無人駅。駅周辺には民家が無く、四方を田んぼに囲まれています。田んぼの中に佇むだけで、特に何もしなくても、心がリフレッシュします。この駅も電車と田んぼと岩木山を一緒にカメラにおさめられます。

  • 田んぼとトンボ
  • 稲の花

トンボを肩に
稲の花を眺める

稲の花って見たことありますか?小さくて一見花に見えないかもしれませんが、目を凝らすと白いつぶつぶがモミから出ています。だいたい7月下旬〜8月上旬、梅雨が明けて晴れの日が続く頃に開花します。稲の花は、お米の炊けた匂いがするとか!?ぜひ開花した時期に田んぼの側を歩いてみてください。

田んぼの畦道は「雑草美術館」

笠をかぶった踊り子姿のシソ科のオドリコソウやおなじみのタンポポ、「蓼(タデ)食う虫も好き好き」とことわざになったタデ科のイヌタデやミゾソバ、クワイの元祖と言われる白い花のオモダカ、三つ葉のクローバーのシロツメクサ、青紫色の花を咲かすミズアオイ科のコナギなど、色とりどりの草花が田んぼには見られます。(稲にとっては害草もあるようです)

  • 田んぼの畦道01
  • 田んぼの畦道02
田んぼの畦道03
尾上高校前駅と田んぼ01

金色の野に降り立つ
わたし

「尾上高校前駅」で降りてみると、一面に広がる金色の稲穂と雄大な岩木山。『ラン、ランララ、ランランラン♪』のフレーズを口ずさみながら歩くと、気分は「風の谷のナウシカ」!

尾上高校前駅と田んぼ02

トンボを肩にとまらせて
『ほら怖くない』と言ってみたい

両手を広げ、風を感じながら、ジブリ映画のヒロイン「ナウシカ」のなりきり写真をパシャリ。田んぼを手前にして低い位置でカメラを構えると、まるで金色の野に立っているように写ります。
※田んぼの細い畦道は私有地で、田んぼを守る大事な堤防。絶対に立ち入らないようにしてください。

  • 青森県産お米
  • 青森県産おにぎり

田んぼで食べる
新米おにぎり!

やってみたかった「田んぼで食べる新米おにぎり」! たわわに実った稲を見ると、おにぎりが食べたくなりました。田んぼ鉄道沿線の黒石にある総菜ストア「スマイルキッチン」で津軽地方ならではの「すじこのおにぎり」を買って田んぼでパクリ。地元産の採れたて新米と特選すじこのコラボがたまりません。

稲

実るほど
頭を垂れる稲穂かな

水田で育つ稲は、水を求めて根を張る必要がないため、そのまま成長させるとたわわになった実を支えられなくなります。そこで、穂が出る前に田んぼの水を抜いて地面を乾かす「中干し」という作業が行われます。水の管理はとても大切。たいへんな手間をかけて育てられるから、お米は美味しくなるのでしょう。

棒がけ01

田んぼで
オブジェ製作中!?

「田んぼアート駅」を下車して「遊稲の館」へ歩いて行くと、稲を刈って太い棒に掛けている風景に遭遇。天日干しで自然乾燥させる「棒がけ」の作業です。約1ヵ月ほど雨露に湿りながらも、風と太陽でゆっくり乾いていった稲は、栄養分がお米に集まって味が良くなるそうです。棒がけは、津軽でよく見られる風景ですが、不思議なオブジェのようです。

  • 棒がけ02
  • 遊稲の館

古代米の棒がけは
スワッグに見える?

「遊稲の館」では、古代米も多くの種類を栽培していて棒がけで天日干しします。田んぼに巨大な絵を描く田舎館村名物「田んぼアート」の一部にも使われている古代米は、種類によって葉や稲穂の色が多彩です。ここは実際に育てられている色々な古代米を近くで眺められるとても珍しい場所です。棒がけされた古代米は洋風のスワッグ(花飾り)のようにも見えます。

棒がけ03

棒がけと
ミニ田んぼがズラリ

小さな田んぼに棒がけが並んでいます。ここは一般の人が年間を通じて稲作体験ができる「遊稲の館」のミニ田んぼ。葉や稲穂に色がある古代米を使って自分だけの田んぼアートを作ることができます。
■ 「遊稲の館」弥生体験田
(年間会員制、要申込)
体験期間:5月から11月
参加料:1区画(3.5m×3.5m)1,200円
受付期間:1月上旬~2月下旬頃
問い合わせ:Tel.0172-58-4689

夕日と電車

“秋は夕暮れ”
田んぼの夕べは
いとをかし

古典「枕草子」にも『秋は夕暮れが一番いい』とありますが、田んぼの夕景は最上級の「いとをかし」です。夕日が岩木山に沈んでいく時、空は赤に染まり、ねぐらへ急ぐ鳥たちが空を横切り、風は急に冷えてくる。虫の音は寂しげに聞こえて、光はみるみるうちに闇へと移ります。

「田んぼ鉄道」の地図

「田んぼ鉄道」の地図

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